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天国への翼 ⅳ

不思議な夢を見た
僕の体が苦しかったのに苦しくなくて
すべてから開放された気分
僕の背中には羽が生えてて
天の上から誰か手招きしていた
僕は地上でも天でもない場所で浮いていた
天に行こうとしたら泣き声がした
地上をみるとお母さんが泣いていた
お母さんが泣いてる…
もう泣かせたくないって思ったのに…
ごめんねお母さん
今そっちへ……
「…さ!つばさ!」
「…お母さん…?」
目を開けたらそこにはお母さんがいた
真上をむいていた僕はお母さんの顔と病院の天井が見えた
「翼!よかった、目が覚めたのね?」
「…。」
「いいのよ、無理しないで。…ごめんね」
「?どうしてお母さんが謝るの?悪いのは僕なのに」
「いいの、翼はなにも悪くないの。悪いのは全部お母さんだから…」
「…僕またお母さんを泣かせちゃったね」
「…ちがっ、翼のせいじゃないのよ!」
「じゃぁどうしていつも泣いてるの?」
「僕の病状をお医者さんから聞くたびに泣いて」
「…そ、それは」
「僕のことでお父さんとなにか話してるときも泣いて」
「ち、違うのよ…」
「何が違うの!!?みんな僕のせいだ!僕なんか生まれてこなければ…」
バシッ
…はじめてお母さんに叩かれた
「あっ…ごめんね。でも生まれてこなければなんて思わないで…」
お母さんがなきながらそう言った
「私は翼を産んでよかったと思っているのだから、そんな事言わないで…」
…少しの間沈黙が残った
「…ねぇ、お母さん」
「なぁに?」
「…僕の病気って何なの?病状は?僕はどうなっちゃうの?」
「…。」
「僕は難しいことはわからないけど…もうすぐこの世界からいなくなっちゃう気がする」
「つ…ばさ」
「僕は最近お母さん達から離れていく夢を見るんだ。きっと近いうちにそうなると思う」
「翼っ…」
「確信がもてないのに…なんだかそんな気がするんだ。」
「僕は少し怖いのかもしれない。この世界から離れることが」
「いつもお母さんの泣き声で目が覚めるの」
「僕が離れていったらお母さんはまた泣いてしまうの?」
「翼、大丈夫よ。ゴメンね。お母さん、もう泣かないから」
「…うん」
「ねぇ…死ぬときって苦しいのかな」
「…どうだろう、お母さんわかんないなぁ」
「でも苦しくても、きっとすぐ楽になれるよね
 僕死んだら天使になるの。」
「そっかぁ…翼天使になるの」
「あ、でも僕やっぱり天使にならなくてもいいや」
「どうして?」
「診察の時間です」
「あ、すいません、今出ます」
「じゃぁねお母さん」
「うん、がんばってね翼」
「うん!」
「じゃぁすいません、あと翼をお願いします」
そうしてお母さんは帰った
                       つづく

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天国への翼 ⅲ

ようやく泣き止んだ僕はいつのまにか寝てしまったようだ
でも、意識ははっきりしていた
そのことがわかったのは僕の病室にいるお母さんの声とお父さんの声が聞こえたからだ
「…なにも絵本をとりあげることなかったんじゃないのか?翼は楽しんでいたし」
「…だめよ、あの子は一度夢中になったものには憧れてしまうの
それだけならまだいいと思うわ。ただあの絵本の内容は…翼にはダメなのよ」
「翼が死ぬことを望むかもしれないのか?」
「…違う!違うのよ…それも否定はできないけど…」
「…お母さん」
思わず声を出してしまった
「つ、翼?起きてたの?違うのよ、これはね…」
わけのわからないいいわけをされて少し腹が立った
「っいいよ!言いわけなんかしないでよ!僕だってそれなりの現実はうけとめられる!
子供扱いしないで!!」
そういって僕は病室を走って出た
屋上まで走ると、急に涙がこみ上げてきた
そして苦しくなった
「っく、かはっ。げほっ」
息が、できなくなった
「お、母さ…」
そこで意識が途切れた
                                   続く

天国への翼 ⅱ

絵本を読んでる間に僕は泣いていた
読み終わってから泣いている事に気がついたんだ
「あれ…?」
どうして僕は泣いているのかわからなかった
絵本を読んだだけなのに
どこも痛くないのに
絵本で泣くなんて…ショックで泣きそうだよ
「この絵本は…」
僕に大きな衝動を与えてくれた気がした

タイトル:天国への翼

あるとき一人の男の子がいました

男の子はもう長くは生きていられなくて

その子のお母さんとお父さんはいつも泣いていました

あるときついに男の子はいなくなっちゃって

お母さんがないているとその夜夢のなかにその男のこがでてきてこういいました

「お母さん、今までありがとう。ないちゃダメだよ?僕ね、この羽をもらったんだ
 “てんごく”ってところの行けるんだって。泣かないでね。泣いたら僕までかなしくなっちゃうよ
 お母さん。僕は“てんごく”でずっとまってるよ。また会えるんだから。そんな顔しないで」

お母さんはその夢を見てから一度大声をだして泣いて

それからは泣くことはありませんでした

数年後、そのお母さんもいなくなっちゃったけど
 
きっと“てんごく”の男の子と会えたでしょう

    おわり

「天国への翼かぁ…」
僕も死んだら…もらえるのかな?翼…
「翼!」
「あ、お母さん!!?」
「あ、あのね。さっきの絵本あるでしょう?あれ、翼にはちょっとあわないわよね」
「え…でも」
「翼も10歳なのに絵本なんていやでしょう?」
「…」
言い返せなかった。嘘ではないから
「返してくるわね」
僕はもうあの絵本を…見ることはできないの?
はじめてあんな絵本を見た
とても絵がきれいで目を奪われてしまった
もう…見れないんだ
それから僕は頭の中はあの絵本でいっぱいになっていた
それほど印象が強かったんだろう
そしてそれから数日たって
僕の頭には髪の毛がなかった
薬のふくさようらしい
こんなんじゃもう友達にも会えない
僕はそう思うととても悲しくなった
そしてまた絵本を思い出して…泣いた
ある日、テレビをみたら子供向けのテレビをやっていた
あの絵本と似ている内容だから見てみた
「人はダレでも死んだら天使になれるのよ」
ドラマ風に子供に親が言い聞かせているシーン
「天使…?」
「天使になったら鳥さんになれるの」
鳥に変身ができるらしい
「鳥さんになったら、身近な人を見守ってあげるのよ」
「見守る…」
催眠術にでもかかったかのように僕の口は聞いたことをつぶやき、繰り返していた
人は天使になり鳥になって人を見守る
僕も―?
その夜、呼吸が苦しくなった
息ができなくなりそうだった
急いでナースコールを鳴らした
たまたま間に合ったけど、改めて僕は死と隣り合わせになっていることに気がついた
あんまり身近すぎて、怖くなかった
「翼、大丈夫!!?」
お母さんが来た
でも、僕はお母さんの顔を見てから急にまた涙がでてきてしまった
「つ、翼。どうしたの?どこか痛いの?」
「ふぇ…ひっく…」
きっとそのときの僕の顔はみっともなかったと思う
でもそんなこと関係なかった
大声でなくと他の人に迷惑だから、声を押し殺して泣いた

              続く

天国への翼

僕の名前は白井翼【しらいつばさ】10歳
現在地、病院の個室
この間から入院している
お父さんとお母さんが泣きながらお医者さんとお話していたけど
難しい話で僕にはわからなかった
入院してから僕はお母さんに絵本を買ってもらった
「入院中はつまらないでしょ?」
僕もうそんな年じゃないのに
そう思って僕は絵本を読み始めた

                       続く

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